特集 術後1週間の患者管理
合併症を有する場合の患者管理
精神障害を有する場合の患者管理
山城 守也
1
1養育院付属病院外科
pp.705-708
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207695
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手術後急性期に問題となる精神障害には,発生因子として,術前からのものと,術中,術後に発生するものとにわけられる.
術前から真性精神病がある場合は,向精神薬の大量・長期投与による各種臓器障害をチェックし,術後合併症の発生に注意すべきである.
その他,高齢,救急手術,心理的不安,アルコールなどの慢性薬物中毒が誘発因子としてあげられる.
予防のため,既往歴の詳細なチェック,全身状態の改善,患者への十分なオリエンテーションが大切である.
手術直後からの意識障害は,全身状態の悪化を物語ることが多く原因究明に努める,しかし術後2〜3日の意識清明期(lucid interval)を経ておきる,いわゆる"術後せん妄"は,高齢者,開心術,救急手術の際に多く,脳動脈硬化症,不眠,術後合併症,心理的要因などが加わり発生すると考えられる.
合併症の発生がなければ,通常は一過性で術後1週間以内に消失することが多い。患者管理上支障をきたす場合には,四肢抑制,睡眠・鎮静剤による持続睡眠が必要となる.ときに薬剤の全面的中止で軽快することもある.
抗不安薬・向精神薬は,種類・量共個人差が大きいので,現状では各種の薬剤の中から経験的に種類・量を変えて適合させてゆく柔軟な姿勢が必要である.
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