特集 術後1週間の患者管理
合併症を有する場合の患者管理
肺気腫を有する場合の患者管理
原田 幸雄
1
,
吉村 敬三
1
1浜松医科大学第1外科
pp.693-695
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207693
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肺気腫は慢性閉塞性疾患の1つとして高齢者に多く,近年手術年齢の高齢化に伴い肺気腫合併症例の手術も増加し,胸部のみならず腹部および一般外科でも術後の呼吸不全が患者管理の上で重要な課題となつている.手術術式についての術後管理や高齢者の管理については別項があるので本項では主として肺気腫の呼吸管理について記載する.肺気腫の著しいものでは術前の胸部X線写真に透過度の増加や肺野の拡大,横隔膜の低位などの所見があるが軽度のものではほとんど変化がみられない.術前の呼吸機能検査により1秒率が65%以下で,最大換気量が60 l/min以下では閉塞性障害が強いと考えられる.このような症例では特に呼吸困難の訴えがなくともPaO2の低下やPaCO2の上昇,さらには肺高血圧を認めることがあり,術後は呼吸不全からPaCO2の上昇をきたしCO2ナルコーシスを起こすなど状態が悪化するので細心の呼吸管理が必要となる.また,水分の過剰投与および低蛋白血症などは肺水腫の原因となり,さらに感染症を併発すると重篤な状態となる.
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