特集 術後1週間の患者管理
合併症を有する場合の患者管理
高血圧を有する場合の患者管理
平澤 博之
1
,
佐藤 博
1
1千葉大学医学部第2外科
pp.678-680
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207689
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高血圧症治療の原則は,血圧を持続的に適切なレベルまで下げ,それを維持し,脳,心臓,腎臓等の高血圧症のtarget organの障害の進展を抑え,合併症の発生を予防し,快適な日常生活を営ませながら,患者の長寿をまつとうさせる事にある.したがつて高血圧症患者における術後管理もあくまでこの基本方針の延長上にある事をまず念頭に置いておくべきである.
すなわち術前より降圧剤を服用していた患者は術前夜までそれを服用させ,また術後も可及的に早く降圧剤の投与を再開すべきである.手術という侵襲を契機にtarget organの障害の程度が増悪するような事がないようくれぐれも留意すべきである.以前はレセルピン等降圧剤を服用している患者は,麻酔中に徐服及び低血圧が高頻度に発生するとの理由で,これら降圧剤を術前1週間から10日にて中止する事が推奨されていた.しかし最近レセルピンの投与を予め術前に中止しておいても麻酔中の低血圧症,その他の合併症の発生頻度は低下しない事,降圧剤投与中止によつて最大血圧が上昇すると腎機能障害が発生する事もあるし,また脳や心臓の血管への負荷の増大をもたらす事がある等の理由により上記のごとく降圧剤を服用中だつた患者は術前夜までそれを服用させ続ける事が一般に行なわれている.さらに高血圧症患者の術中術後の管理に関しては,降圧剤とくに交感神経抑制剤を服用し続けていた患者は,通常の患者に比較し,体液の喪失に対し予備力が小さいということを念頭に置くべきである.
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