外科医の工夫
減張縫合による乳癌根治術後の一期的皮膚縫合
坂西 昭夫
1
,
土屋 克己
1
1秋田赤十字病院外科
pp.1569
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205921
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乳癌根治手術を行なうに当つては腫瘍の局所再発を防止する意味で皮膚切開は腫瘍外縁より3〜6cm離して行なう必要があり,かつ皮下脂肪組織はできるだけ除去すべきであることは周知の事実である.しかしこのような広範な皮膚切除を行なつた場合は縫合時に皮膚縁が寄らないことが多く,かつ過緊張のための血行不良を起こし折角縫合した創縁の壊死をきたして創哆開が起こることは諸賢のしばしば経験されたことと思う.このような皮膚不足時には従来皮膚移植を行なうのが通例であつた.しかしながら移植皮膚は必ずしも全面活着するとは限らず,一部でも壊死に陥つた揚合はその治療に長時日を要し,放射線治療の開始時期がおくれることが多かつた.
私達は5年来縫合予定皮膚の緊張が強い部分に減張縫合を行ない,創縁を一期的に縫合して好結果を得ているので以下その手技を紹介する.
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