Japanese
English
特集 緊急手術後の合併症・Ⅰ
腹部外傷手術後の消化管出血
Upper gastrointestinal hemorrhage following operation for abdominal trauma
佐野 進
1,2
,
芳賀 昭
1
,
黄 振地
1
,
佐々木 久雄
1
Susumu SANO
1,2
,
Akira HAGA
1
1仙台市立病院外科
2東北大学葛西外科
pp.261-270
発行日 1971年2月20日
Published Date 1971/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205305
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はじめに
過去5年間の腹部外傷は117例で,頭部外傷の合併手術を行なったものを除き腹部外傷が主となつたのは109例であるが,その中術後消化管出血をきたしたのは5例,4.6%に当る.これを従来より腹部外傷術後合併症として一般に報告されている遺残膿瘍,横隔膜下膿瘍,イレウスなどの7例に比較すると意外と発生が高率であるといえよう(第1表,第2表参照).外傷では来院時既往歴も十分知りつくせぬことも多々あり得るが,術後の消化管出血もまた突発的のこともあり,予期せぬ合併症の範疇のものとして外傷故にいたし方ないとそのまま放置してしまわれ,不幸な転帰をとる傾向にあるが,たとえ以前にまったく正常と自他共に自覚していた患者でも,かかることが発生し得るということを念頭におくならば時に救命し得ることもあるので,われわれはこれらの症例を個々に反省し,診断,特にどのような場合に発生するか,なし得ればその予知,さらには処置をいかにすればよいかなどを2,3の代表例をあげ,その経過を追い検討してみたいと思う.
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