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特集 今日の外傷—外傷患者の初診と初療
Ⅴ.腹部外傷
最近の興味ある腹部外傷症例
潜在性疾患と外傷—門脈圧亢進症を伴つていた脾刺創の1例
Silent disease and trauma:Stab injury of the spleen with portal hypertention, a case report
大井 竜司
1
,
佐野 進
1
,
芳賀 昭
1
,
黄 振地
1
,
佐々木 久雄
1
Ryoji OH-I
1
1仙台市立病院外科
pp.1305-1310
発行日 1971年8月20日
Published Date 1971/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205424
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はじめに
外傷は交通外傷をはじめとし,ますます増加の一途をたどり,損傷が複雑化するとともに,その診断および重症度判断は必ずしも容易ではない.とくに最近話題になつているsilent disease(潜在性疾患)が,損傷臓器の基礎疾患として存在する場合,受傷外力と臓器損傷程度との間に思わぬへだたりがあること,いいかえれば,"minor trauma with major injury"があることに注意しなければならない.われわれは最近silent diseaseとして肝硬変症および陳旧性十二指腸潰瘍が存在し,門脈圧亢進症のために腫大した脾に刺創をうけた症例を経験したので,外傷初診時の注意を喚起する意味において若干の考察を加えて報告する.
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