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特集 今日の救急
困難な消化管出血の止血—救急病院における上部消化管出血例を中心として
Treatment for acute massive bleeding from the upper digestive canal at an emergency clinic
的場 直矢
1
,
桜井 潔
2
,
佐野 進
3
Naoya MATOBA
1
1仙台市立病院外科
2仙台市立病院内科
3陸上自衛隊仙台地区病院第1外科
pp.205-212
発行日 1973年2月20日
Published Date 1973/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205747
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はじめに
吐血または下血を主訴として,ショック状態に陥り搬入されてくる消化管出血の患者は第一線救急病院では最も重要な疾患の一つである.これらの患者は来院と同時に治療と診断がほとんど併行して開始されなければならないが,まず内科的に管理され待機的に治療されるのが原則であろう.しかし時として大量の出血が持続し,あるいは短時間内に再出血が反復して十分な血圧の保持が困難で,緊急に手術室へ移されるものも少なくない.もとよりこれらの患者は手術により救命できるものが多いが,緊急手術の行なわれる患者はショックにもとづいて一般状態は不良のため術前検査も不十分で術中,術後の管理面にも意外な困難さや陥し穴がひそんでいて外科医に細心の注意と最大の努力が要求される.ここではわれわれが緊急手術を要した上部消化管出血の2〜3の具体例をあげて反省し,患者の手術前に考えるべき問題に触れ,さらに実地的な臨床面より一般の概要について述べてみたいと思う.
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