Japanese
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特集 緊急手術後の合併症・Ⅰ
頭部外傷後の発熱の原因とその対策
Fever due to head injury:Cause and its treatmet
戸谷 重雄
1
,
中西 亨
1
Shigeo TOYA
1
1慶応義塾大学医学部脳神経外科
pp.253-259
発行日 1971年2月20日
Published Date 1971/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205304
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はじめに
頭部外傷患者の緊急手術の目的は,開放性または閉鎖性外傷を問わず,脳実質への機械的圧迫(血腫)の除去,脳腫脹に対する減圧手術,および感染原の除去にあるといえる.特に重症頭部外傷による脳嵌頓の徴候の出現は,一刻を争う緊急性が要求される.したがってほとんど術前の正確な検査不足のまま手術が施行されることになるが,この場合,術後様々な合併症の起こつてくる危険性が大であることは当然といえよう.しかしながら,いかに緊急性を要求される場合でも,頭部外傷の実態は多様であることを認識し,術前の神経学的検査,および可能な限りのレントゲン検査その他の補助診断法を用いて頭蓋内病変を正確に把握した上で,対策を講じることこそ術後合併症を減ずる第一段階であることはいうまでもない.術中の問題においてもしかりである.重症頭部外傷手術の重点は,一カ所に結集した頭蓋内血腫の存在だけではなく,頭蓋(脳)全体の問題である点を忘れてはならない.
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