Japanese
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特集 今日の外傷—外傷患者の初診と初療
Ⅹ.多臟器の複合重症外傷
多臓器の複合重症外傷患者の診断と治療方針—腹部外傷を中心として
Diagnosis and treatment for patients with complicated severe trauma of multiple organs with special reference to abdominal trauma
佐野 進
1,2
,
大井 竜司
1
,
芳賀 昭
1
,
児玉 南海雄
3
,
小松 伸郎
3
Susumu SANO
1,2
,
Ryuji OHI
1
,
Namio KODAMA
3
1仙台市立病院外科
2東北大学医学部葛西外科
3仙台市立病院脳神経外科
pp.1373-1388
発行日 1971年8月20日
Published Date 1971/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205435
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はじめに
外傷程複雑で多種多様の様相をおびているものはない.一元的な慢性疾患で数多い所見を時日をかけて一つ一つ分析検査して最終的な診断を下すのとは根本的に異なり,逆に多くはショックという一見すると単純とも思われる症状の中から短時間で数多い損傷の存在の予想の全てを推察して行かねばならず,その中の一つでも見逃したならば救命のきずなが断ち切られる陥し穴を常に秘め隠している.依頼された題が多臓器の複合重症外傷患者の診断と治療に課せられたのもよつて来る由縁であり,最近の外傷の特性を如実に現わして居るからであろうと思われる.かかる観点より,この報告を単なる統計にしたくともなく,実際に当面したかずかずの腹部外傷に種々の合併損傷を伴つた典型例をあげ,救命し得たのは何故か,何故に死亡したのか,また死亡例の中には,さらに細心の注意をむけて居たならばあるいは助け得られたであろうかも知れないものもあることを反省し検討してみたい.
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