トピツク
新しい症候群—(1) Cowden病,他
pp.668-669
発行日 1963年5月20日
Published Date 1963/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203082
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上口蓋が急勾配で兎唇・口蓋裂を呈するのはMarfan症候群に見られる.舌肥厚し幅狭く陰嚢状を呈するのは,後天的の炎症でも起るが,また家族的のMelkersson-Rosenthal症候群に著しい,思春期処女の乳腺肥大は稀で,多くは知能発育障害などの異常に伴う.さてLloyd andDennis(Ann.int.Med.58:136,1963)の報告している20歳処女は以上の異常をすべてもつている.その他,典型的なアデノイド顔貌,鋭くとがつた鼻,小口症,鳩顎のように短小の下顎,幅狭く前後に長い頭蓋,口唇,口蓋・咽頭のhyperke-ratotic papillomatosis,多発甲状腺結節,漏斗胸,両側乳腺肥大して乳腺症様で一部癌に転化,肝および骨の多発嚢胞がみとめられた.口唇・口蓋papillomatosisは歯牙異常でも起るが,本例では歯の不適合による刺激の結果ではない,多発甲状腺結節はadenomaであるが,頸部照射の既往はない.
I131検査でhyperactive noduleである.母親55歳で巨大甲状腺腫をもつ.乳房は15〜25ポンド,表面皮膚に色素沈着あり,右乳房には3cm大潰瘍あり,組織学的に乳腺症からの癌転化と見られる.
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