アンケート
乳腺症—1)乳腺症にBiopsyを一般に行なつてよいか?—2)ホルモンの奏効しにくい乳腺症はどう治療するか?
今 永一
1
,
増田 強三
2
,
綿貫 重雄
3
,
小原 辰三
4
,
山岸 三木雄
5
,
藤森 正雄
6
,
杉江 三郎
7
,
間島 進
8
,
久野 敬二郎
9
1名古屋大学外科
2京都大学外科
3千葉大学外科
4国立東一病院
5横浜市大外科
6群大外科
7北大外科
8東北大外科
9癌研附属病院外科
pp.663-667
発行日 1963年5月20日
Published Date 1963/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203081
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初期乳癌の発見にBiopsyは最も有力なる手段であることはいうまでもありません.乳腺症の中には触診上初期乳癌と非常にまぎらわしいもの例えば大嚢胞,名称のAdenosis,部分像としてのFibroadenoma等があります.また乳腺症には各種乳管上皮の高度な乳嘴腫様増生を示しいわゆる前癌状態ともいうべき高い癌化傾向を有する部分像を含むものもあります.こうした組織の判別はBiopsyを行なわなければ決定し得ぬものであります.
このように乳腺症は各種の部分像から構成されており,これらの組合せにより種々異なつた形態をとつて来ます.例えばFibrosisが病変の大部分を占めるもの,また静止期乳腺に比較的近いもの,このような乳腺症は触診上瀰蔓性の形をとり手掌面で局限性の腫瘤としては触れません.このような乳腺症はBiopsyは全く行なう必要はありません,手掌面で限局性の腫瘤として触れる乳腺症のみBiopsyの対象となり氷結切片により鏡検を行ない,乳管上皮の乳嘴腫様増生を示す場合はなるべく広範囲に切除する必要があります.既に癌化像を示すものには直ちに乳癌の根治手術に移らなければなりません.
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