Japanese
English
綜説
肺結核虚脱療法の際の対側肺汚染について
Staining of Opposite Side in Collapus therapy for Pulmonaly-tuberculosls
山內 実
1
Minoru YAMANOUCHI
1
1札幌医科大学外科教室
1Surgical Clinic of SAPPORO Medical College
pp.183-186
発行日 1955年3月20日
Published Date 1955/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201584
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まえがき
肺結核に対する外科的虚脱療法,あるいは直達療法をおこなう際に,対側肺へ病巣分泌物を吸引し,好ましからざる肺内合併症を惹起することに関しては,つとにOverholt,河合,篠井氏らにより注意を喚起されたところで,これが対策として手術時体位に対する工夫等が指摘されているがしかし果して実際にこれがどのような形で,どの程度に併発されるかという点に関してはまた具体的な研究報告はきわめて寥々なるものであり,いまだ充分にその重要性が強調されていない現状であるといえる.前述のごとく手術後のこの呼吸系合併症は実際問題として手術時の体位が最も重大な原因をなすものといわれているが,著者は手術前施行した気管支造影の残存造影剤が,術後X線写真上において対側肺へ移動している事実を数例において認めたが,これによつて気管内分泌物,すなわち危険性を多分にもつ分泌物も当然他側肺へ吸引され,多少なりとも肺内合併症をおこす可能性のあることを示す具体的好例と考えられるので,これについて少しく検討してみたいと思う.
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