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肺結核妊婦に對する肺虚脱療法—特に横隔膜神經麻痺術
藤森 速水
1
1大阪市立醫學專門學校産婦人科學教室
pp.100-108
発行日 1947年4月1日
Published Date 1947/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200086
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緒言
この一篇の内容は昭和18年3月京都に開催された第41囘日本婦人科學會總會に於いて余が擔當した「産科學上より觀たる肺結核」と云ふ題下の宿題報告の一部であつて實は右宿題の内容は總會當日來聽された諸賢に別刷として配布したのであるが,宿題擔當の責任者として余はその後,一般醫學雜誌にもその内容を發表して識者の御批判,御追試を仰ぐ心組みであつた。所が太平洋戰爭醋なるに及んで出版界の機能不全は愈々深刻となり,遂に余の希望は滿されず今日迄遷延した次第である。然るに今囘,本誌の新發足に際し,安藤主幹より投稿の機會を與へられた故,茲に余の宿題報告の内容の一部を敷衍して報告し,識者諸賢の御教示を仰ぎ度いと思ふ次第である。
肺結核妊婦治療上の困難性には色々あるが,尠くとも2つの重要な點を看過してはならない。その1は人工妊娠中絶適應の決定であり,他の1は妊婦肺結核症の治療である。前者の問題に就ては既に19世紀頃から種々の見解が發表されMalagliano,Pradella,Schauta等の絶對的中絶論とBorden,Eullen,Joseph,Frank,Portal,Baumes,Co—uvelaire,Cleiz,Jenning,Norwood,Runge,Lohlein等の中絶否定論即ち保存療法主義,そして兩者の折衷説即ち條件付(相對的)中絶等が發表され今日尚論爭の熄まない状態である。
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