呼と循ゼミナール
大気汚染と肺機能検査
長野 準
1
1国立療養所南福岡病院
pp.396
発行日 1975年5月15日
Published Date 1975/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202758
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大気汚染が呼吸器障害に何らかの形で関与していることは,今日では疑いようがない。慢性閉塞性肺疾患COLDは,この障害の1つに挙げられよう。
気道の閉塞性障害は,肺の強い気腫性変化を伴うようになってはじめてレ線像からも診断しうるが,閉塞性の変化そのものの確実な診断は,肺機能検査による機能変化所見に基づいて行われる。慢性閉塞性肺疾患は,慢性気管支炎,気管支喘息,慢性肺気腫など気道の閉塞性変化を共通所見とする疾患群であるから,その成因には必ずしも大気汚染の関与を必須条件とはしない。したがって,閉塞性障害と大気汚染との関連を追求する場合には次のような問題点が生ずる。すなわち閉塞性障害のなかに大気汚染による特有の障害パターン,さらに厳密に考えれば汚染物質による特異な障害パターンが存在するかどうか,あるいは単に非特異的閉塞性障害の度合が大きいだけなのか,もしそうであるとした場合に,大気汚染の関与を量的に評価しうるかどうかという2つの疑問が浮かび上ってくる。ゆえに,今日の種々の肺機能検査手段を用いることによって,これらの点が解明されうるかどうかをはっきりしておかねばならない。
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