発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007226678
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症例は69歳男性。3年前に食道癌に対して食道胃上部切除、3領域リンパ節郭清、胸骨後残胃挙上再建術を施行した。その後胸部異常陰影が出現し入院となった。胸部CTにて右上葉S1に径10mm大、S2に5mm大の結節影を認め、転移性肺腫瘍が疑われたため、診断および切除目的に胸腔鏡下右肺部分切除を予定したが、術前CTガイド下マーキング後に対側肺の虚脱を合併し、胸腔ドレーン留置を要した。また、術中は空気漏出試験が不可能で、胸腔内を詳細に検索したところ、両側胸腔を交通する瘻孔が確認され、左側手術は不要と判断し、右胸腔ドレーンを留置して手術を終了した。病理組織学的にS1は転移性肺腫瘍、S2は肉芽腫と診断され、ドレーン抜去後、引き続き化学療法を施行した。両側胸腔が交通する手術の既往があるときには、マーキング後に対側肺の虚脱が起こることを念頭におき、適切な処置をする。
©Nankodo Co., Ltd., 2007