症例研究
術後肺虚脱2症例
篠原 弘藏
1
1財團法人甲南病院産婦人科
pp.146-151
発行日 1950年4月10日
Published Date 1950/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200337
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はしがき
術後肺合併症の一現象としてPasteur (1910)が本症の存在を唱導して以來歐米特に米英ではかなり多數の症例が報告されているが,本邦では昭和7年はじめて2症例(九大,赤岩外科)が發表され,ついで同年及昭和14年(第39回外科學會總會)に石山教授により實驗的並に臨床的研究(18症例中剖檢3例)が詳細に報告されるに及び漸く臨床家の注目する處となつた.しかし末だ其症例數は意外に少く特に婦人科手術後の合併頻度は4.5%(石山)で外國(10.5%)の半數にも及ばず,其後も井上,加來の2〜3症例があるに過ぎない.之事は我領域では一般に末だ本合併症に對する關心が薄くて其相當數が看過され或は誤診されているためではないかと想像される.私は最近本症と思われる2症例を經驗したので先本合併症の分類,原因,症状,診斷,經過並に豫後,豫防處置等に就て其要點のみを簡單に述べ自驗2症例を追加報告したいと思う.
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