原著
人工氣腹術の慢性肺氣腫患者の肺機能に及ぼす影響—肺虚脱療法に關する研究—第4報
吉村 正治
1
,
村尾 誠
1
,
小原 常吉
1
,
武內 重五郞
1
,
河目 鐘治
1
,
百瀨 達也
1
,
岡野 正光
1
,
本田 一三
1
,
小林 太刀夫
1
1東京大學醫學部美甘内科
pp.173-178
発行日 1953年7月15日
Published Date 1953/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200101
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Ⅰ.緒言
慢性肺氣腫患者に對する人工氣腹術(以下氣腹と略稱)の效果がReic1)によつて報告されて以來,同療法は次第に汎く行われ,それと共に同療法による臨床症状の改善・肺機能の變化等も種々觀察される樣になつたが,本來肺組織の複雑な病的變化を基盤としてもたらされる肺氣腫患者の肺機能障害に對して,氣腹が如何なる機構により治療效果を擧げ,又氣腫肺に對して如何なる變化を與えるものであるかに就て解明せられざる點も多く,殊に著明な血管系の變化が考えられる高度の肺氣腫患者に對して,氣腹による横隔膜擧上と呼吸運動改善1)4)の效果がどの程度に期待出來るものであるか,或は又氣腹により效果を充分得られなかつた場合,それが如何なる理由にもとづくものであるか等,更に論義されねばならぬ問題も可成り擧げられる。著者等はかゝる高度の肺氣腫患者に行つた氣腹の肺機能に及ぼす變化を,諸種の觀點から病態生理學的に研究して來たのであるが,此處に其の一端を報告し,大方の批判を仰ぎたい。
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