特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅳ.肝・胆・膵
肝細胞癌
島田 和明
1
,
江崎 稔
1
,
奈良 聡
1
,
岸 庸二
1
,
巌 康仁
1
,
小菅 智男
1
Kazuaki SHIMADA
1
1国立がん研究センター中央病院肝胆膵外科
pp.184-191
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104805
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術前に必要な基本の画像
従来より肝細胞癌のルーティンの術前診断として,腹部超音波(US),dynamic CT, MRI,血管造影CTを行ってきた.現在,標準的にはUS,MDCTによる質的診断および進展度診断を行い,鑑別診断が困難な場合や肝内転移巣の診断に難渋する場合には,肝細胞特異性造影剤であるGD-EOB-DTPA(ガドキセト酸ナトリウム)を用いたMRI,あるいは血管造影CT(CTAP/CTHA)による診断を追加する1)(図1).
多くの症例ではdynamic CTにより肝細胞癌の診断は可能である.典型的な肝細胞癌は動脈相で濃染し,門脈~平衡相では周囲の肝実質より低濃度となる.CT・MRIで内部モザイク構造,被膜,動脈相の早期濃染,平衡相の洗い出しが認められれば確定診断してよい.dynamic CTによる基本的な肝細胞癌の画像を示した(図2).肝細胞癌でも非定型画像を示す場合もある.実際に慢性肝炎,肝硬変肝を背景に充実腫瘍が認められれば,まずは肝細胞癌を疑うことが肝要である.
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