特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅳ.肝・胆・膵
肝内胆管細胞癌
岡村 大樹
1
,
大塚 将之
1
,
清水 宏明
1
,
加藤 厚
1
,
吉富 秀幸
1
,
古川 勝規
1
,
高屋敷 吏
1
,
久保木 知
1
,
鈴木 大亮
1
,
酒井 望
1
,
中島 正之
1
,
宮崎 勝
1
Daiki OKAMURA
1
1千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学
pp.192-197
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104806
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はじめに
肝内胆管癌(ICC)は「胆管の2次分枝およびその肝側の肝内胆管に由来する上皮性悪性腫瘍」と定義されており,癌取扱い規約上では原発性肝癌として取り扱われる1).肝癌の5~25%を占めると報告されており,日本では4.4%と比較的稀であるが,近年増加傾向にある.同じ原発性肝癌である肝細胞癌(HCC)に比べ,リンパ節転移を高率にきたし,HCCの切除後5年生存率が54.2%であるのに対し,ICCの5年生存率は20.3%と予後不良の疾患である2).現在のところ,手術以外に有効な治療法がないため,遠隔転移や腹膜播種がなく,術前の画像診断上治癒切除が期待できる症例はすべて外科切除の適応となる.
また,わが国ではその肉眼的分類で3つの型,すなわち,①腫瘤形成(MF)型,②胆管浸潤(PI)型,③胆管内発育(IG)型の3つに分類され,その型によって臨床経過や予後が異なる3,4).ICC全体では,外科的切除可能であった症例に限っても5年生存率25~35%と満足できる予後ではないが,そのうちIG型に関しては非常に良好な成績が得られることが報告されている4).しかしながら,IG型の頻度は4%と最も少なく,MF型が59%と最も多い.また,MF型とPI型の混合型であるMF+PI型が数多く存在し,上記の3型に加えMF+PI型を1つの独立型として扱うのが現実的であり,実際の頻度はMF+PI型が20%とMF型に次いで多く,PI型が7%となっている.近年はMF型とMF+PI型が増加傾向であることが報告されており,本稿ではMF型およびMF+PI型を中心に,術前画像診断のポイントと術中の解剖認識につき解説する.
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