特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅳ.肝・胆・膵
先天性胆道拡張症
安藤 久實
1
Hisami ANDO
1
1愛知県心身障害者コロニー
pp.178-183
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104804
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はじめに
先天性胆道拡張症(以下,本症)に対しては,拡張胆管切除・肝管空腸吻合術が基本術式であるが,この手術を施行するに当たっては以下の点を知っておく必要がある.第一に,膵内胆管を残存させると残存した膵内胆管に結石が形成されたり癌が生じることが少なくないため,膵管との合流部近くまで確実に切除する必要があること.第二に,肝管には狭窄が存在することが多いので,これを術前に把握して手術時に対処しないと術後に肝内結石を生じる確率が高いこと.第三に,本症では血管の走行異常,とりわけ右肝動脈の走行異常が少なくないので,これを損傷しないよう十分な留意が必要であること.すなわち,本症に対する手術は膵液と胆汁の流出路を分離すればよい,というようなものではないことを十分認識し,術後長期の合併症を防ぐためには上記の点を術前に理解・診断しておくことが重要である.
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