Japanese
English
特集 先天性代謝異常と脳形成異常
1.ペルオキシソーム欠損症の遺伝子異常と神経発生異常
Phenotype-genotype Relationships in Peroxisome Biogenesis Disorders
下澤 伸行
1
Nobuyuki Shimozawa
1
1岐阜大学医学部小児科
1Department of Pediatrics, Gifu University School of Medicine
キーワード:
peroxisome biogenesis disorders
,
intracellular protein traffic
,
neuronal migration
,
temperature sensitive
,
neural development and regeneration
Keyword:
peroxisome biogenesis disorders
,
intracellular protein traffic
,
neuronal migration
,
temperature sensitive
,
neural development and regeneration
pp.411-420
発行日 2001年5月1日
Published Date 2001/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901767
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
先天性代謝異常症の原因となるタンパク質は,細胞内で化学反応の触媒や細胞の形の維持など重要な働きを担っている。これらのタンパク質はリボソーム上で合成された後,それぞれ細胞内を特定の場所に輸送されてその機能を発揮する。その場がミトコンドリア,リソソーム,ペルオキシソームなどの細胞内小器官(オルガネラ)で,最近では先天代謝異常症をこの細胞内小器官ごとにオルガネラ病として分類している。その1つがペルオキシソーム病で,疾患としてはベルオキシソーム膜タンパクの1つであるALDPの遺伝子異常によるX-linked adrenoleukodystrophy(ALD)が有名であるが,ペルオキシソームの基礎・臨床両面の研究の進展に多大に貢献した疾患としては,タンパクの細胞内輸送障害や膜形成異常によりペルオキシソーム自体の生合成に異常をきたしているペルオキシソーム欠損症の存在が挙げられる。本症ではペルオキシソーム形成機構のメカニズムが種を越えて普遍的に保存されているために,動物細胞や酵母における研究が直接,ヒトの疾患の病因遺伝子や病態の解明に繋がっている。特に細胞内におけるタンパクの各オルガネラへの輸送の研究は1999年度のノーベル医学生理学賞を受賞しており,本症はタンパクの細胞内輸送異常による遺伝病のプロトタイプとしても注目を集めている。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.