Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
小児Bickerstaff型脳幹脳炎
Bickerstaff Brain Stem Encephalitis in a Child
吉川 秀人
1
,
唐澤 環
1
,
阿部 時也
1
,
小田 良彦
1
1新潟市民病院小児科
pp.934-935
発行日 2000年10月1日
Published Date 2000/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901671
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症例 4歳男児
第1病日,咳,鼻水などの感冒様症状が出現。第4病日,39℃台の発熱。第7病日には歩行中もふらついて,しばしば転倒するようになった。第8病日,嘔吐出現し,傾眠傾向が出現しはじめ,第9病日近医を受診し入院した。翌朝,傾眠傾向が続き,10秒ほどの全身性強直性けいれん出現がしたため当科を紹介され入院した。入院時,体温37.2℃,意識障害を認めJCS100程度であった。項部硬直を認め,眼球運動ほとんどなく人形の目現象は陰性,瞳孔径は左右ともに5mmで対光反射緩慢であった。右顔面神経麻痺を認め,流涎多量で嚥下困難が認められた。筋トーヌスは正常で深部腱反射正常,病的反射は認められなかった。その他理学的所見で異常所見は認められなかった。血液生化学所見は正常で,髄液細胞数26/3,蛋白21mg/dl,糖78mg/dl,Cl 126 mEq/lであった。種々のウイルス抗体価を検索したが有意な上昇は認められなかった。脳波は,基礎波の著明な徐波化が認められ,聴性脳幹反応ではI-V波潜時が延長し,波の分離も不良であった。頭部MRI所見(図A,B,C,D)では,橋を中心にT2強調画像で高信号,T1強調画像で低信号を呈する病変が認められた。治療後,徐々に意識状態は改善し嚥下障害,眼球運動障害も改善した。入院12日目にはつかまり立ち可能となり,会話も以前と同様にできるようになった。28日後には退院し,その1カ月後には後遺症もなく治癒した。
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