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特集 神経皮膚症候群の分子遺伝学の進歩
4.von Hippel-Lindau病
von Hippel-Lindau Disease
菅野 洋
1
,
山本 勇夫
1
,
矢尾 正祐
2
,
執印 太郎
3
Hiroshi Kanno
1
,
Isao Yamamoto
1
,
Masahiro Yao
2
,
Taro Shuin
3
1横浜市立大学医学部脳神経外科
2横浜市立大学医学部泌尿器科
3高知医科大学泌尿器科
1Department of Neurosurgery, Yokohama City University School of Medicine
2Department of Urology, Yokohama City University School of Medicine
3Department of Urology, Kochi Medical School
キーワード:
von Hippel-Lindau disease
,
tumor suppressor gene
Keyword:
von Hippel-Lindau disease
,
tumor suppressor gene
pp.33-40
発行日 1999年1月1日
Published Date 1999/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901381
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はじめに
近年の分子生物学の進歩により,von Hippel-Lindau病(以下VHL)の原因遺伝子は,1993年,米国国立癌研究所のZbarらのグループによりポジショナルクローニング法によって単離され,報告された12)。遺伝性脳脊髄腫瘍を生じる神経皮膚症候群に属する疾患には,神経線維腫症(NF 1, NF 2),結節性硬化症(TSC 1, TSC 2),neurocutaneous melanosis, VHLなどが知られているが,このうちで,VHLはこれまで最も遺伝子(DNA)診断の施行されてきた疾患である。
VHLの報告は古くは19世紀後半に記載がみられ,既に20世紀の初頭には,小脳に血管芽腫が生じ網膜に血管腫が生じる遺伝性疾患として認識され,1904年にドイツの眼科医Eugene von Hippel28)が家族性網膜血管腫を,1927年にはスウェーデンの病理医Arvid Lindau13)が家族性の小脳の血管芽腫と網膜血管腫の合併した50症例を報告している。その後,この常染色体優性の遺伝性疾患はこの2人の名前を用いて,「von Hippel-Lindau病(症候群)」と呼ばれるようになった。VHLでは,小脳,脳幹,脊髄に血管芽腫を,網膜に血管腫を生じるほか,腎細胞癌,褐色細胞腫,副睾丸の嚢腫,腎および膵臓の嚢腫,膵島腫瘍,側頭骨の内リンパ嚢腫瘍などが生じる。
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