今月の表紙
乳頭血管腫(von Hippel-Lindau病)
間瀬 智子
1
,
坂本 泰二
2
1旭川医科大学
2鹿児島大学
pp.992
発行日 2021年8月15日
Published Date 2021/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214058
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- 文献概要
患者は27歳の男性。初診時の2004年から2020年までの16年間にわたり経過観察できた乳頭血管腫の症例。母親がvon Hippel-Lindau病と診断され,本人も遺伝子保因者であることが確定したため旭川医科大学病院眼科に紹介となった。初診時矯正視力は両眼1.2。眼底所見上,両眼ともに明らかな異常はなかった。2007年の受診時,左眼の視神経乳頭上に血管腫様変化を認めた。その後,血管腫は徐々に大きくなり,乳頭を覆うほどになった。なお,初診時から本人には眼科的自覚症状はなく,現在までに視力と視野に変化は認めていない。
撮影には眼底カメラTRC50-DX(TOPCON社)を用い,画角は35°を使用した。本症例の血管腫は,年々成長するに従い硝子体側に大きく隆起してきている。血管腫表層の血管に焦点を合わせることが必要であるが,血管腫側に焦点を合わせすぎると乳頭と網膜の血管がぼやけてしまい,乳頭を含む全体像がわかりにくくなるので,ある程度網膜側にも焦点を合わせて撮影することを意識した。撮影光もハレーションが起きないよう注意した。
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