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特集 神経皮膚症候群の分子遺伝学の進歩
3.神経線維腫症(Neurofibromatosis)
Neurofibromatosis
原 徹男
1
,
岡本 幸一郎
2
,
近藤 達也
1
,
設楽 信行
2
Tetsuo Hara
1
,
Koichiro Okamoto
2
,
Tatsuya Kondo
1
,
Nobuyuki Shitara
2
1国立国際医療センター脳神経外科
2東京都立駒込病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, International Medical Center of Japan
2Department of Neurosurgery, Tokyo Metropolitan Komagome Hospital
キーワード:
NF
,
NF 1
,
NF 2
,
neurofibromin
,
merlin
,
genotype/phenotype correlation
Keyword:
NF
,
NF 1
,
NF 2
,
neurofibromin
,
merlin
,
genotype/phenotype correlation
pp.17-31
発行日 1999年1月1日
Published Date 1999/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901380
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はじめに
神経線維腫症(Neurofibromatosis;NF)はphaco-matosisの代表的疾患であり皮膚病変,骨病変,眼病変などのほか中枢神経系の腫瘍を高率に合併する常染色体優性遺伝形式をとる疾患である1)。歴史上13世紀には既にその記載があり極めて古くから人類に知られていた疾患である2,3)。本症には様々な症状が混在していたが,1882年にvon Recklinghausen4)が皮膚病変を主体とする症例を報告して以来,彼の名を冠して広く世に知られるようになった。しかしながらその病態が明快に理解されるようになったのは,彼の報告から実に100年以上経過したごく最近のことである。すなわち1986年から1987年にかけてSeizingerらは,本症を皮膚症状を主徴とするtype 1(NF 1)と両側性聴神経腫瘍の形成を主徴とするtype 2(NF 2)の2型に分類し,分子生物学的アプローチによりそれぞれの責任遺伝子座を特定したのである5〜7)。ここに初めてNF 1とNF 2は,臨床的にも遺伝子的にも全く異なった別々の疾患であることが科学的に証明されたのである。本論文ではこのような背景をもつ神経線維腫症について分子生物学的な側面からみた最新の知見を概説する。
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