連載 症候学メモ・38
屈曲性対麻痺(1)—一病変の特徴
平山 恵造
1
1千葉大学神経内科
pp.273
発行日 1988年3月1日
Published Date 1988/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206075
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◆両下肢が麻痺し,股関節と膝関節とで著しい屈曲肢位に固定される特異な症候がある。即ち屈曲性対麻痺である。この病態機序は両下肢の屈曲反射が亢進するためとされている。健常人では下肢の筋緊張は屈筋群と伸筋群とで程よく均衡がとれているが,脊髄腰膨大より上の病変によっては,この均衡が破れ,屈筋群の収縮が反射性に生じるようになると,下肢は屈曲姿勢をとることになる。
◆これをいいかえれば,脊髄自動反射が亢進したために下肢が屈曲肢位をとるということもできる。つまり,下肢の皮膚に加わった感覚刺激や,体内からの固有刺激によって,下肢はいわゆる三重屈曲現象を呈することが知られている(「症候学メモ(7)脊髄自動反射と変性疾患」を参照のこと)。
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