連載 症候学メモ・1【新連載】
躯幹運動失調truncal ataxia
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.17
発行日 1985年1月1日
Published Date 1985/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205437
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躯幹運動失調は体幹運動失調とも呼ばれる。最近の解剖学用語には躯幹でなく体幹が用いられているが,「躯」が当用漢字にないためかと思われる。しかし「躯」には胴の意味も含まれているので,「体」より適当と考えられる。
この症状はしばしば誤解されている。誤解している人の方が多い印象すらもたれる。運動失調患者の中には両脚で起立すると,上体を含む体全体がガタガタとふるえるものがある。ひどいときには用心しないと立ちづらく,患者は何かにつかまろうとすることすらある。これらが躯幹運動失調であると思われているが,これのほとんどは下肢の運動失調性の動揺の表われであって,躯幹運動失調ではない.
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