Japanese
English
特集 自律神経系の基礎
自律神経系と体性神経系
Autonomic and Somatic Nervous Systems
佐藤 昭夫
1
,
佐々木 光美
1
,
鈴木 はる江
1
Akio Sato
1
,
Mitsuyoshi Sasaki
1
,
Harue Suzuki
1
1東京都老人総合研究所・生理学部
1Department of Physiology, Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
pp.43-52
発行日 1985年1月1日
Published Date 1985/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205440
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1.はじめに
自律神経系(植物神経系または不随意神経系とも呼ばれる)は,生体にとって最も基本的な,循環,消化,代謝,分泌,体温,生殖等の諸機能を調節する重要な働きを荷っている。すなわち,自律神経系は,心臓とか腺などの器官系統,およびすべての器官の平滑筋を神経支配しており,生体の植物的機能を不随意的に統御して,ホメオスタシス(生体の恒常性)を維持している。これに対して,意識的,あるいは随意的に行われる多くの過程は体性神経系の支配を受けている。
自律神経系の中枢は脊髄と脳にあり,その信号は交感神経系と副交感神経系の遠心路を介して末梢の効果器に伝えられる(図1,左)。いずれの系においても,中枢から出たニューロンは効果器に至る間に自律神経節において最低一度ニューロンを換える。自律神経節には交感神経節あるいは副交感神経節のどちらかが知られているが,消化管においてはさらに壁内神経叢があり,そこでニューロンを換える例もある。一方,内臓からの情報は自律神経系の求心路を介して自律神経中枢に伝えられる。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.