特集 慢性進行性神経疾患・Ⅱ
免疫
ataxia telangiectasia
合屋 長英
1
Nagahide GOYA
1
1九州大学医学部小児科学教室
1Department of Pediatrics, Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.975-984
発行日 1972年12月10日
Published Date 1972/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903448
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小児期にみられる小脳変性疾患は遺伝性あるいは家族性に発生することが多く,臨床的には遺伝性小脳性運動失調症hereditary cerebellar ataxiaとして総括されている(Ford1),1966)。もちろん,これに包括される疾患には臨床的にも病理学的にもいろいろな移行型がみられ多くの問題点を含むものであるが,代表的な疾患としてはFriedreich病をはじめRamsay-Hunt症候群,遺伝性小脳性運動失調症,Marinesco-Sjoegren症候群などがあり,またBassen-Kornzweig症候群およびataxia telangiectasiaには代謝異常の伴っていることが明らかになり注目をあびてきている。
ataxia telangiectasiaは1941年フランスの女医Danise Louis-Bar2)が,軽度の舞踏病アテトーゼ運動choreoathetosisと皮膚の褐色斑cafe au lait spotを主徴とする9歳の男児を新しい型の先天性母斑症phacomatosisとして初めて報告したもので(Louis-Bar syndrome),その後約15年をへてBoderら3)(1958)は剖検例をふくむ7例の詳細な検索から,本症の特徴として進行性の運動失調症と毛細血管拡張症をあげ,毛細血管拡張性失調症ataxia telangiectasiaなる命名を提唱した。
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