Japanese
English
特集 脳脊髄液
頭蓋内圧測定法
The measurement of the intracranial pressure.
若林 繁夫
1
,
新田 正広
1
,
永井 肇
1
Shigeo Wakabayashi
1
,
Masahiro Nitta
1
,
Hajime Nagai
1
1名古屋市立大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Medical School, Nagoya City University
pp.947-958
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204823
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1.頭蓋内圧測定法の歴史
1886年,Leyden1)が犬の頭蓋骨に小孔を穿ち,glass windowを作つて,そこにmanometerを置き睡眠静止状態では12〜15mmH2O,不規則な呼吸をしている状態では40mmH2Oと記録したのが頭蓋内圧を数的に表した最初である。この時Leydenはすでに頭蓋内圧上昇に伴う呼吸,脈拍,瞳孔の変化についても報告している。
臨床例で初めて頭蓋内圧を測定したのは,1891年,Quincke2)であり,小脳橋角部sarcomaの症例で腰椎穿刺を行ない,500 mmH2Oの頭蓋内圧を記録したとある。この方法は比較的手軽であり,頭蓋内圧を数値としてとらえるので,最近に至るまで頭蓋内圧測定の主流をなし,頭蓋内圧亢進と臨床症状,髄液の化学的性状,髄液の産生,吸収のメカニズムなど,多方面にわたる研究を発展させる原動力となつた3,4)。しかし,このように髄液腔から髄液をガラス管に導出させて頭蓋内圧を測定するopen manometerによる方法では頭蓋内圧が高いほど,ガラス管に流出する髄液が多いわけで,そのため髄液が流出した分だけ頭蓋内圧が変化し,正確な頭蓋内圧を測定したことにならないのではないかという疑念も一部の研究者の間では抱かれていた。
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