Japanese
English
特集 脳脊髄液
頭蓋脊髄腔内の圧とその分布
Distribution of intracraniospinal pressures.
古瀬 和寛
1
,
口脇 博治
1
,
蓮尾 道明
1
Masahiro Furuse
1
,
Hiroji Kuchiwaki
1
,
Michiaki Hasuo
1
1名古屋大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Nagoya University School of Medicine
pp.959-968
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204824
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I.はじめに
頭蓋内での圧変化が頭蓋脊髄腔内の病態を考える上で重要なインディケーターになることは言うまでもない。脳脊髄液(CSF)の産生,吸収の相互関係,その循環の異常が脳室の拡大をひきおこし,この際頭蓋内圧(ICP)の変動が認められてくるほか,各種の頭蓋脊髄腔内の占拠性病変,血行障害が頭蓋内圧を変化させ,さらには構造上の偏位を結果してくる。
一般に頭蓋内圧と言つた場合,髄液圧の値をもつて表わされる。それは,脳および脊髄が頭蓋骨、脊柱という硬いコンテナーの中に納められ,その周囲を脳脊髄液によつてとり囲まれ支えられるような形で存在するため,髄液圧をさまざまな圧コンポーネントのいわば平均的な圧力としてとらえうるからである。しかし頭蓋脊髄腔内の圧は,有名なMonro-Kellie doctrineに示されるように,脳脊髄,血管床内血液および脳脊髄液の三構成要素の相互の量の変化によつて規定され,その上それぞれの構成要素がその固有の圧力を有していて病像により変化する。さらには病態によつては部位による圧力差も生じうることが知られてきており,それらの病態進展とのかかわりが近年注目されてきている。
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