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1.はじめに
硬膜上で頭蓋内圧を測定する方法には,Ouinke以前には20.27)Marey's tambour,近年では,硬膜外バルーン法及び硬膜外に取付けたpressure transducerによる方法等様々なものがある。このうちpressure transducerによる硬膜外測定法は近年になって発達した方法であるため,その信頼性が議論されることが多いのに対して,硬膜外バルーン法は内部に含まれる水又は空気のhydrostatic pressureを測定する方法であるので,バルーンを頭蓋内に密閉出来れば正しい頭蓋内圧の測定が出来ると考えられ,その信頼性が議論されることは殆んどない。ところが実際に頭蓋内圧をバルーンを用いて測定してみると,その値は,髄液圧との問に差が生じている場合があるばかりでなく,バルーン内圧の変化が髄液圧の変化と1対1の関係を持たないことが多いので,この方法も必らずしも信頼性の高い方法とは云えないことがわかる。それでは,どのような因子が硬膜外バルーン法の信頼性をくずすのであろうか? この問題を解明するためには,模式図1に示した2つの圧力系である弾性腔が圧着されている場合の内圧の相互関係,即ち,被測定系の内圧(P1)が測定系弾性腔(P2)へ伝達される際にみられる「膜を介して伝達される圧力」の基本性質が解明されなければならない。この圧力の基本性質は又頭蓋内血管内圧が髄液に伝達される際にも適応できるので12〜15),重要な意義を持っている。
本論文では,先に述べた頭蓋内圧測定法9〜11)の臨床分類IIの中10),第3群バルーンを応用した頭蓋内圧測定法を取上げ,その実際例の紹介を行ない,この種の圧力測定装置に共通して問題となる「膜を介して伝達される圧力」の基本的性質の検討を行つた。
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