Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
これまで,頭蓋内圧が亢進するのは頭蓋腔を一種の閉鎖された弾性腔とみなし,これにMonro-Kellie's doc—torineを適用し,その内の構成要素(脳・血液・髄液)の総合容積が増大するためと考えられてきた。すなわち内容積の増加は頭蓋内圧と関数関係にあると考え頭蓋内圧と容積の相関について多くの仕事がなされ,その際,頭蓋腔のelasticityを示すindexとしてdp/dv (またはdv/dp)のもつ意義についても議論が重ねられて来た。しかし頭蓋腔には毎分約1000mlの血液が出入しているので,実際問題として,頭蓋内圧を容積とのみ結びつけて考えてよいのであろうか。著者は従来から,臨床例,動物例について頭蓋内圧の連続記録を行つて来たが5,13),極度の頭蓋内圧亢進時には,頭蓋内圧は動脈圧と全く同じ圧力パターンを画く一方,この様な高い圧力も心停止と同時にほとんど0となるのを見て来た。このことは,頭蓋内圧が動脈系から血液が流入する流入圧の影響を受けていることを示すものであり,頭蓋内圧が,動静脈系圧力の反映圧で構成されている証拠であろうと考えた。そこで,著者は頭蓋内圧に反映圧の概念の導人を試みた。この反映圧の概念は,風船に水を注人する場合を例にとれば,容積圧が,風船内容積で作られると考えるのに対し,反映圧は水の注入圧の関数とみる概念である。このような反映圧については,これまで議論されたことがないので,本報告では先ず,容積圧,反映圧,に関して理論的うらづけを行なつた。さらにこの根拠に立つて,臨床例,動物実験例による測定例を示し,反映圧の概念に基いた頭蓋内圧解析法を示した。
In order to understand the pathogenesis of in-creased intracranial pressure, the concept of thedriving pressure (DP) from the intracranial vascularsystem was proposed. The DP consists of the trans-mission of atrial pressure (ADP) and venous pres-sure (VP). It is well known that when the animalsdied, the intracranial pressure decreased to theatmospheric pressure. This means that the DP isimportant in maintaining the static pressure of thecerebrospinal fluid. The theoretical equation of theintracranial pressure was expressed as follows.
ICP =ADP+VP (1)
ADP is expressed as (2).
ADP= η(BP-VP) (2)
The pressure transmission rate (η) was calculatedas the ratio of the CSF pressure to the systemicarterial blood pressure in the experimental andclinical cases. In the normal CSF pressure, 72 wasvery small (2.0×10-2), while in the severe intra-cranial hypertension, η approached to 1.
The concept of the driving pressure was usefulto analyze the static intracranial pressure and thepulse pressure.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.