Japanese
English
総説
脳血管障害における凝固
Hypercoagulability and Stroke
松田 保
1,2
Tamotsu Matsuda
1,2
1東京都老人総合研究所臨床第2生理
2東京都養育院病院
1Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
pp.13-25
発行日 1978年1月1日
Published Date 1978/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204179
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I.はじめに
脳血管障害は,悪性腫瘍と並んで,本邦における成人の死亡率の首位を占めており,その予防,治療は重要な問題と考えられる。脳血管障害のrisk factorとしては,従来より,動脈硬化,高血圧,血中脂質など多くのものが指摘されて来たが,最近,血小板機能,凝血能,線溶能をも含んだ広い意味での血液凝固性の亢進や,血液粘度の土昇など,血液の面からみた異常が脳血管障害,ことに脳硬塞の成因のひとつとなり得るのではないかと注目されている。また,この点に関連して薬物を投与することによつて,血小板機能,凝血能,血液粘度を低下せしめたり,血栓を溶解する目的で線溶能を亢進せしめたりすることが,脳血管障害の予防・治療手段として問題となる。本稿においては,脳血管障害急性期における広い意味での血液凝固性ならびに血液粘度の変動につき,内外の報告ならびに著者の成績を紹介しつつ,血液の面からの脳血管障害二の予防・治療の問題について述べてみたい。
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