今月の主題 血小板の臨床
抗血小板剤
血栓症での臨床成績—脳血管障害
松田 保
1
Tamotsu Matsuda
1
1東京都老人総合研究所・臨床第2生理室
pp.1716-1717
発行日 1983年10月10日
Published Date 1983/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218475
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虚血性の脳血管障害の予防を目的とする抗血栓療法としては,まず,経口抗凝血薬療法が主として一過性脳虚血発作(TIA)の例に対して試みられたが,その効果については賛否両論があった.1970年代に入ると,TIAに対する経口抗凝血薬療法の効果については必ずしも明確な結論が得られないままに,血小板機能を抑制する薬剤の抗血栓効果が広く問題とされるようになった.
抗血小板剤の効果が熱心に検討されるようになったことの背景には,硬化動脈に生ずる血栓の形成には,静脈血栓の場合に比べ血小板の占める役割が比較的大きいと考えられること,頸動脈の粥状潰瘍の部位に付着した血小板血栓が剥離した後,さらに末梢に流れて脳血管を閉塞することがTIAの一因とされることなどあげられる.
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