今月の主題 凝固線溶系の新しい検査
検査と疾患—その動きと考え方・109
血液凝固異常症
松田 保
1
,
伊藤 恵子
1
,
上田 幹夫
1
,
神野 正敏
1
,
朝倉 英策
1
,
日月 香代子
1
,
北尾 武
2
Tamotsu MATSUDA
1
,
Keiko ITOH
1
,
Mikio UEDA
1
,
Masatoshi KANNO
1
,
Eisaku ASAKURA
1
,
Kayoko TACHIMORI
1
,
Takeshi KITAO
2
1金沢大学医学部第3内科
2国立療養所若松病院内科
pp.261-267
発行日 1986年3月15日
Published Date 1986/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912904
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はじめに
外傷を受けて血管が破れると,血液が血管外にあふれ出て出血を生ずる.この場合,血管の破綻部位には血小板が粘着,凝集して,これを機械的に閉塞すること,また凝集した血小板より遊離するトロンボキサンA2(TXA2)(「カラーグラフ」図1)により血管が収縮することによってある程度止血を生ずる.しかし,破綻した血管が大きい場合には,血小板のみでは十分ではなく,血液の凝固が必要である.
血液の凝固は,血液が正常血管内膜とは異なる性質を有した表面と接触しても起こる.例えば血液を試験管に入れた場合である.ガラス製の試験管はプラスチック製の試験管に比べて"異物面"作用が強く,ガラス製の試験管に入れた血液はより早く凝固する."異物面"作用の本態は陰性荷電を有する表面とされる(「カラーグラフ」図2).
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