書評
—E. C. Boedeker・J. H. Dauber 編 高久 史麿・和田 攻 監訳—内科治療マニュアル
清水 直容
1
1帝京大学
pp.26
発行日 1978年1月1日
Published Date 1978/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204180
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東大でも京大でもどこの大学のものでもよいが日本の大学の内科の治療指針というものがあつたらどんなに興味深くまた有用であろうか。医学は普遍性を目ざしているが,特に治療学の上では地域性があることがよく知られている。本書は先ずその意味で貴重な書で,これはアメリカのセント・ルイスにあるWashington大学付属病院における内科治療指針である。初版は30年以上も前のものであるが,今回日本で初めて翻訳されたのは,その第21版であり如何に治療学が進歩しているか,また如何にその需要が多いかはこの版数が如実にこれを語つている。
この書は,American Journal of Medicine (緑の表紙でGreen Journalとして親しまれている)のEditorであつたWashington大学の内科教授のCarl Moore博士に捧げられている。20年以上前,私は田坂定孝先生の御伴をしてこのMoore教授を訪ねたことがあり,その温厚な人柄に深く魅せられた思い出がある。そのMoore教授の治療学上の指導がこの書に貫ぬかれているとあつては益々この書が身近に感じられるのである。
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