症候群・徴候・31
Avellis (アフェリス)症候群
平山 恵造
1
1順大脳神経内科
pp.193
発行日 1975年2月1日
Published Date 1975/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203665
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この症候群を現代流に「軟口蓋・喉頭片麻痺」といつてしまえば,何の変哲もない「ノド」の一側の麻痺にすぎないと,極めて簡単に聞きすごされてしまうが,軟口蓋と声帯に限局した運動麻痺は解剖学的に考えれば,いくつかの注目すべき問題を含んでいる。
Avellis (独,1891年)がこれに関する論文を表わした当時においては,軟口蓋が顔面神経によつて支配されていると考えられていたが,これは現在において既に信ずる人はない。しかし,軟口蓋の知覚支配が舌咽神経によるものであつても,その運動支配もが舌咽神経によるものであるかについては長い歴史的な論議のあるところで,これは副神経延髄根(内側枝)によるとされている。今からみれば,この問題に火をつけたのがAvellisであるとみることが出来る。彼は150例の喉頭麻痺患者の中に口蓋垂と軟口蓋が健康側にひかれる合併例10例を観察した。
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