症候群・徴候
Benedikt (ベネディクト)症候群
平山 恵造
1
1順大脳神経内科
pp.78
発行日 1974年1月1日
Published Date 1974/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203481
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一側の赤核が破壊されると,①同側の動眼神経麻痺と,②反対側の半身に一見したところ不全麻痺が起こり,③さらに,その上下肢に特異な自発的の不随意運動を生ずる。これをBenedikt症候群という。これはまた赤核症候群ともいわれるが,このすべてが赤核の傷害による症状ではないから,Benediktというepon—ymを用いる方が適当であろう。
Bendiktの報告(1874,1889)は上記の症状を綺麗に備えていたものではなく,また病巣も右中脳内のかなり大きい結核巣で赤核部が選択的に障害されたものでもない。はじめてBenedikt症候群の名称を用い,これを紹介したのはBenediktのドイツでははなく,フランスのCha—rcot (1893)であつた。そして,この症状と赤核部病変との関係に着目したのはMarie et Guillain (1903)で,更にBenedikt症候群の臨床像と病理解剖所見との関係を決定的にしたのはSouques,Crouzon et Be—rtrand (1930)である。
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