症候群・徴候・16
Lermoyer (レルモワィエ)症候群
平山 恵造
1
1順大脳神経内科
pp.561
発行日 1974年5月1日
Published Date 1974/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203553
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Lermoyer (仏,1929)は,眩暈,難聴,耳鳴を三主徴とするMénière症候群と症状は共通するが,発現順序の逆な特異な多くの観察例をもとに報告を行なつた。その表題に(le vertige qui fait entendre,耳がきこえるようになる眩暈)とある如く,その発作の最後は聞こえなかつた耳が眩暈とともに聞こえるようになることも特徴である。
Ménière症候群は急激な強い眩暈を以つて始まり,これに耳鳴が前駆または伴ない,嘔気,嘔吐を来たし,次いで難聴が加わり,不安,不快感が数時間ないし数日続いた後,症状は徐々に軽快する。これに対し,Lermoyer症候群は,不快感の前駆することがあるが,難聴,耳鳴を以つてはじまる。この難聴は数週にわたつて進行性に強まるが,やがて眩暈が起こるとともに,難聴は数時間後には消失する。このMénière症候群とLermoyer症候群の逆順の関係を彼は次のように簡明に記している。
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