症候群・徴候・44
Hoffmann (ホフマン症候群)
平山 恵造
1
1順大脳神経内科
pp.967
発行日 1975年9月1日
Published Date 1975/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203767
- 有料閲覧
- 文献概要
1897年,J.Hoffmann (独)は,2回の甲状腺部分切除に次いでほとんど全摘除を行つた患者で,はじめテタニー,次いでミオトニー現象を呈し,甲状腺剤治療で治癒した症例を記載した。この粘液水腫とミオトニー現象との合併をHoffnann症候君羊という。
Hoffmannの報告した症例ではミオトニー現象が著明で,随意運動に伴う自発性ミオトニーも,ハンマー叩打による機械的ミオトニーも認められたが,筋肥大を伴つていない。また運動をくりかえすことによつて筋の収縮と弛緩は速くなるが,それでもおそさTrägheitとつつぱりtonische Spannungは軽度ながら残り,消失することはない。また夏によく,寒さで悪化する。これらの諸点を含め,彼以後の諸医学者の検討によつて,この粘液水腫にみられるミオトニー現象はThomsen病にみられるミオトニーとは内容が異なるとされ,後者の真性ミオトニーに対し,前者を仮性ミオトニーPseu—do-myotonieとも称する。粘液水腫に伴う仮性ミオトニーでは,機械的ミオトニー現象が著明であるのに較べて,自発性ミオトニー現象は軽く,また筋弛緩のおくれのみのものもあるが,筋収縮と弛緩の両者がおくれ,もしまた,筋肥大を伴う症例でも,その筋肥大分布とミオトニー現象の分布とは必らずしも重なつた分布を示さないとさてれいる。このような真性ミオトニーと仮性ミオトニーとの臨床上の相違は筋電図でも認められ,後者でのミオトニー現象はいわゆるelectrical silenceを呈する。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.