文学漫歩
—ルース・ベネディクト(著),長谷川松治(訳)—『菊と刀』(1967年,社会思想社刊)
山中 英治
1
Hideharu YAMANAKA
1
1市立岸和田市民病院外科
pp.1378
発行日 2001年10月20日
Published Date 2001/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905327
- 有料閲覧
- 文献概要
『ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれないに 水くくるとは』
在原業平は屏風に描かれた竜田川の紅葉の絵を題として詠んだそうですが,私は奈良に住んでいますので,本物の竜田川に行くことができます.竜田大橋から竜田公園「花小路せせらぎの道」は静かでお勧めです.
実は私,『ちはやぶる〜』は古今集よりも落語で先に覚えました.知ったかぶりのご隠居が歌の意味を解説します.竜田川という相撲取りが千早という遊女に振られ,その妹の神代にも聞いてもらえず,廃業して実家の豆腐屋を継ぐ.そこへ落ちぶれた千早が「おからを下さい」と訪ねてきたが,竜田川がやらなかったため水にくぐって死ぬ.「ほな,最後の『とわ』は何ですねん」と尋ねられ,「千早の本名や」というのがオチでした.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.