Japanese
English
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3ヶ月半の意識喪失とBenedikt症候群を呈せる卒中の1顯微解剖例
A Pathologic-anatomical Studyon a Case of Apoplexy with the Benedikt Syndrom and with Coma Continued 3 1/2 Months.
渡邊 宏
1
,
黑岩 義五郞
2
,
足立 英馬
3
Watanabe, Hiroshi
1
,
Kuroiwa Yoshigoro
2
,
Adachi, Hidema
3
1東京大學醫學部腦研究室
2東京大學醫學部内科教室
3東京三樂病院
1Medical Dept. Tokyo Univ.
2Medical Dep. Tokyo Univ.
3Sanraku Hospital Tokyo
pp.105-109
発行日 1949年3月1日
Published Date 1949/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200017
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緒言
Benedikt症候群とは赤核附近の傷害によつて生ずる症候群であつて,一側の動眼神經麻痺と反對側の半身不全麻痺,及び各種の錐體外路性不隨意運動を呈し,筋緊張増加を伴ふこともある。不隨意運動は病巣が新しい時には振顫(1)であり,發病が幼少に起り病巣が10年以上經過してゐる時には,アテトーゼ樣及び舞踏病樣の症状(2)を呈することが多い。又本症に見られる半身不全麻痺は,主として赤核及びその下行路たる中心被蓋束の機能脱落によつて起り(8)(11),錐體路は關係しないと云はれてゐる。更にミオクロニーが軟口蓋・口蓋垂・咽頭・喉頭等に觀察される時には,中心被蓋束の變性と共にオリーブ核の僞肥大(6)を認めることが多い。赤核症候群はBenedikt症候群と下部症候群(Claude症候群)に分類される(8)(11)。その他赤核上外部症候群(6)(赤核視床症候群,Chiray, Foix等)も分類されたが,病理解剖的根據は別としても,臨床症状の根據は薄弱である。
(3)Claude症候群は一側の動眼神經麻痺と反對側の失調,共同運動障碍,企圖振顫,拮抗反復不能症等の小腦症状を呈する。それらの多くは結合腕の障碍によるものと思はれ發病後早く出現する(11)。
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