特集 脳幹の解剖と生理
視床下部と胃の機能—特に視床下部刺激とレセルピン併用投与による実験的消化性潰瘍
城戸 良之助
1
1塩野義製薬株式会社研究所
pp.467-476
発行日 1967年5月1日
Published Date 1967/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202209
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I.緒言
視床下部と胃の機能,特に胃十二指腸の出血あるいは潰瘍との関連性についてはすでに多数の研究者により報告されている1)6)7)11)17)。この他実験的消化性潰瘍の形成方法には幾多の方法が報告されているが薬物としては古くはCincophen10),Histamine3)9)12)などがよく使用されたが,最近では副腎皮質ホルモンの連用8),Phenylbuta—zon8),レセルピン4)23),インシュリン16)などの用いられる場合が多い。先に西崎ら19)はネコを使用してレセルピンの単独投与でも,視床下部諸核の単独刺激でも,胃十二指腸に出血,靡爛,軽度の粘膜欠損は惹起できるが重篤な胃十二指腸潰瘍を生ぜしめることは困難であるのに対してレセルピン前投与後視床下部に電気的刺激を加えれば重症な潰瘍を発生せしめ得ることを発表した。この潰瘍がヒトの消化性潰瘍と質的に似たものであるかどうかは今後の問題である。
今回はこの方法による潰瘍について種々の条件を検討しその発生機構についても多少の解析を行なった。さらに実験動物の種族差の有無を検討する目的でネコとラットを用いて比較実験を試みた。
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