Japanese
English
特集 脳の奇形と発生
視床下部の刺激と脳の発育異常
Brain malformation induced by maternal hypothalamic unbalance
伴 忠康
1
Tadayasu BAN
1
1大阪大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, Osaka University Medical School
pp.242-248
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903373
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Ⅰ.まえがき
最高の自律中枢である視床下部は第3脳室から両側の外方に向かって縦にそれぞれ,a副交感帯,b交感帯,c副交感帯と区分されるが1),2),現在北アメリカでは,b交感帯を満腹中枢,c副交感帯を摂食または摂水中枢と呼ぶグループがある。妊娠には副交感系場を優位とした平衡関係が必要である3)。すなわち,b交感帯の主要核である腹内側視床下核を両側ともに破壊すると,副交感系場の優位が現われ,妊娠は正常か期間の延長を認めるが,c副交感帯を代表する外側視床下核を両側ともに破壊すると,妊娠は中絶し.胎盤は壊死を起こし,胎仔は吸収される。
妊娠を中絶させない程度に視床下部を適当に刺激または破壊すれば,胎仔に奇形が現われないかという想定のもとに実験を行ない,脳の奇形,顔面や四肢の奇形,口蓋破裂,心ヘルニアなどの奇形をつくることに成功した4)。ここでは脳の発育異常について説明する。
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