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あとがき
冲中 重雄
S
pp.186
発行日 1951年5月1日
Published Date 1951/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200200
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學會がはなばなしく終った。四月の新學期に入って新緑のしたたる校門を通って教室へ通う此頃の氣持はやはりほのかな滿足感がないではない。しかしふりかえって見ると,學會のあり方,自分達の學問の進み方等について又新たな強い反省の心に苦しめられる。例えば此雜誌に關係のある神經病學は日本で正しく育てられているであろうか。食道氣管枝鏡を中心とした學會さえ生れているのである。神經病學も此方面の臨床家,基礎學者が虚心な氣持で力を合せて育てあげていかなければならないのではないか。
「あの雜誌はよい」,とか,「あれは評判がよい」とかいわれるが,わが國の雜誌は讀んでみると,出がらしの焼き直しであったり,綜説といつて古いものをよせ集めたりしたものが,大部分である。また,學術的といわわるものも(いわゆる學會雜誌),たいてい,ほかの人にはわからない,時にはひとりよがりのものでさえある。
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