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12月12日に關東精神神經學會が東大醫學部の南講堂で行はれた。一般演題が30題以上集り,最後に島本博士の帰朝談などもあつて仲々盛會であつたと思う。此會は從來關東信越地方の諸大學の精神科教室で世話をされ,學會の内容も精神科を中心にその他の教室も幾分か加はつて行はれていた。今回は此會をもつと廣い方面の參加によつて一層内容を充實させようと云う期待と,今まで精神科教室にのみやつかいをかけていたので,他の教室でも少し御手傳いをしなくてはいけないと云う話から,手始めに我々の教室東大冲中内科)が御手傳いをしようと云うことになつて,今回は我我が會の運行をお世話したわけである。始めての事で教室員の努力にも拘らず,御迷惑をおかけしたのではないかと心配しているが,しかし,學會は非常に盛會で座席が無くなる程であつたことは大變うれしかつた。殊に今回は精神科教室は勿論であるが,その他多くの内科外科教室を始め各方面から演題が申しこまれ,討論なども熱があつてききごたえがあつたと感じたのである。精神科方面の研究内容は殆んどその方面の學者に限られてくるが,神經病學となると,臨床の各教室殊に外科,内科,その他基礎の各教室の知識が結集しなければどうしても圓滿な發展は望めないのである。近い將來に於いて,精神病學の學會と神經病學の學會とは連結はとり乍らも一應分離した形式をとり,精神科の方たはその兩方の學會に活躍してもらい,神經學會はその他に各方面の教室が平等な立場で之を育てていくようなしくみにしていけば,とかく今まで遠慮勝であつた各方面教室も積極的に參加していくようになり,日本にも理想的な神經學會が出來上つていくのではないかと期待するのである。幸い傳統ある日本精神神經學會がこのことを卒先認識され着々實行に移そうと努力し始められたことは大いによろこぶべきことと私は感じている次第である。今度の學會に參加された各方面の教室に對し,その御支援を感謝すると共に,此紙上をかりて所感をのべた次第である。
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