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あとがき
小川 鼎三
,
冲中 重雄
pp.240
発行日 1950年7月1日
Published Date 1950/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200130
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微に入り細をうがつたようにみえる研究が,必ずしも正鵠を得ていないという場合が時としてある。私がかつて鯨の分類學を研究していたときにも一度そのことを痛感しなことがあつた。シワハイルカという種類を日本で初めてみつけたときに,その外形と皮色がそれまでに通説となつているものとあまりにもちがうのに驚いたのである。しかし骨や齒をしらべると正しくこの種類に相違ないのであつた。
そこで文献をできるだけよくしらべて,そのためにはデンマーク語の勉強まで少ししたが,結局19世紀の中ごろまではシワハイルカは私が見たものと同じ外形と皮色であつたが,その後にでた一つの論文の圖が非常に細かくできていたので,その後の學者がこれが正確なものと思いこんでしまつた。ところがこれは別の種類を誤つて描いたものとしか考えられない節があります。
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