Japanese
English
特集 パーキンソン病の症候学―新しい視点―
3.Parkinson病の幻覚―その臨床,病態と治療
Hallucinations in Parkinson's Disease : Their Clinical Picture, Pathophysiology and Treatment
栗田 正
1
Akira Kurita
1
1東京慈恵会医科大学附属青戸病院神経内科
1Department of Neurology,Jikei University School of Medicine
キーワード:
hallucinations
,
pathophysiology
,
etiology
,
atypical antipsychotic agents
,
acetylcholine esterase inhibitor
Keyword:
hallucinations
,
pathophysiology
,
etiology
,
atypical antipsychotic agents
,
acetylcholine esterase inhibitor
pp.747-755
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100392
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はじめに
Parkinson病(以下PD)ではその経過中にときに幻覚を認める。訴えは圧倒的に幻視が多く49),内容はヒトや動物の姿など現実的なものが中心で,LSDなどの薬物に誘発される抽象的な形や色彩,光とは性状を異にする58)。幻聴は幻視に伴う場合はあるものの,単独では極めて稀である14)。幻視は,認知機能障害を伴う症例に出現しやすいため49),患者は幻覚としての認識を失って興奮したり,「泥棒がいる」と言って警察を呼ぶなど,介護者にとり大きな負担となることも多い。実際,米国の調査では,PDの幻覚,妄想は,患者の恒久的な施設入所の唯一の危険因子であることが判明している16)。
L-Dopaの登場以来,PDの幻覚は抗PD薬の副作用とみなされてきた61)。しかし,それ以前にも少ないながらもPDにおける幻覚の記載があること13)や,近年の疫学調査と薬理学的検討の結果から,抗PD薬は幻覚の誘引にはなるものの,根本的な原因ではないとの解釈が現在一般的になりつつある15, 37)。
本稿では,PDの幻覚について,その臨床,病態と治療を中心に概説する。
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