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編集後記
S. I.
pp.392
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205373
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改正道路交通法が施行され約2年が経過した。てんかん,統合失調症,そううつ病,重度の睡眠障害,認知症など「一定の病気による症状」がある場合の罰則強化や医師の任意申告制が導入され,読者の中には担当の患者さんから相談をうけたり,質問制度に応じた患者さんの診断書を作成したり,あるいは運転が心配な患者さんの申告をすべきかと悩まれた方も多いだろう。本号の特集「改正道路交通法と医療の視点」はこのような臨床医の日頃の悩みにこたえるべく組まれ各分野のエキスパートに論じていただいた。論点は多いが,個別の病名をとりあげて運転が問題にされることから生まれる社会的偏見に懸念を示された著者が多かった。疾患と運転との関連性,疾患以外の要因,個別の対策とシステム的な対策などが詳しく説明され,読者の知見を深め臨床に役立つと思われる。運転の問題では疾患や病態だけではなく,向精神薬の添付文書にある運転禁止の問題もある。本誌でも研究成果が発表されており今後の成果に期待したい。
障害者差別解消法と改正障害者雇用促進法が昨年同時に施行された。当事者が主体的に社会に参加していく道が具体化される中でスティグマが研究されることが増えている。本誌で横山先生は自己開示尺度の開発をめざした研究を報告された。当事者がどのような自己開示をしやすいのかを知ることは支援のあり方を検討する上で重要としており興味深かった。
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